けものフレンズに関して 

大晦日はフレンズのみんなでドッタンバッタン大騒ぎ!けものフレンズ 年末特番@ようこそニコファーレへ - 2017/12/31 17:00開始 - ニコニコ生放送

細谷pが出ていて、発言を見ていたのですが、何も分からないぜ。。。

しかしまあ、仕方ないとしか言いようがない。色んな人が頑張ったが、無理だった、それだけは分かる。

特に、「ビジネス的に続投がいいのは分かっている」という発言があって、そこまで分かって出来ないということは、もう外からは窺い知れない事情なんだな、と分かる。

 

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まあ、怪情報がまた飛び交ってるな、とも思う。

しかし、心の置き所がどうしていいか分からない。

けものフレンズというのは、凄く特異な作品だったな、という印象がある。色んな偶然が絡みあって、奇跡的な盛り上がりが発生した。

 

自分は最初、1話を見て途中で視聴を辞めた記憶がある。

あの1話は、やはりきつい。サーバルちゃんも、凡庸な能天気キャラに見えていた。

しかし、他人の記事などに影響され、続きを見てみると、ただ単純に、ぼんやり穏やかな物語ではないのが分かってきた。

サーバルちゃんは、能天気なのではなく、本当にサーバルキャットという「けもの」で、だからこそ深い思考をしないのだ、というのが分かって、見え方が変わった。

他のフレンズも、近代的自我で悩むような、通常の人間とは違うというのが見えてくる。

 

これがけものフレンズの特異な点の一つだと思う。

 

大抵の擬人化は、見た目はけもので、精神は人間だ。

精神はけものである、と示す擬人化はなかなか出来ない。精神はけものなのに、日本語を喋らせるって、どうしたらいいの? となってしまうだろう。

SF小説で、宇宙人だけど精神はアメリカ人、となってしまうように、人間が「違う精神」を説得的に書くのは難しい。

だが、けものフレンズは、各けものが持つ特徴と、カラスが3歳児並の知能を持つというような話もあるが、未就学児童的知能の雰囲気を持たせることで「けものの精神」を表現することに成功した。

最初のインパクトを感じたのは、2話で女の子が「土を舐めている」のを見た時だ。その女の子はアクシスジカで、土の塩分を摂取していた。さらっとギャグみたいに流されるシーンだが、女の子に土を舐めさせる判断は「けものフレンズ」を象徴している気がする。

生活も行動もけものなのだ。

異様な絵面になりそうなそれを、人形劇的なポリゴンが非常に緩和してくれて、ほほえましいシーンにさえなっている。

やけに親切な、あざとい萌えキャラなんじゃないか、と身構えていたサーバルちゃんの精神性も、要はただただ、子供の素直さ、親切さだ、と分かってくるのだ。なんか楽しそう、困ってるなら助けよう、という非常にシンプルな精神だ。

ここへ来て、声優が拙いのは間違いないのだが、その棒読み的な演技が、サーバルちゃんの精神と完全に合致してしまう。

何故なら、棒読みとは「他のニュアンスを含まない」という事だからだ。

「思った事をそのまま言っている」というサーバルちゃんの裏のなさが、けものの精神の台詞となって、こちらを説得してくる。

なんかどうにも間の抜けた顔と、ぎこちない人形みたいなモデリングと、どうしようもない棒読みが合わさって、サーバルちゃんは最強に見える。

これしかない奇跡の組み合わせと言って良い。

これを何かやたら上手い声優さんがやってしまうと、皆さまに花沢香奈でも誰でもいいので想像してほしいですが、他の声優で想像すると、妙に可愛い演技になったり、色々と「深い」ニュアンスのある演技になってしまい、野生のシンプルさは失われそうだと思いませんか?

この、可愛らしい幼稚園児のような、素直に驚いたり、感心したり、なんでも「たーのしー」と言って喜ぶサーバルちゃんを相棒に、ジャパリパークを探検する内に、人間は童心に帰る。

出会うフレンズ達も、みなシンプルに生きるけもの達で、けものフレンズの最大の美点は、優しさだと分かる。彼らは誰も憎まない。

複雑な内面の代わりに、子供のような優しさと、素直さを持っている。

通常の萌え4コマアニメであれば、そんな人間いねえ、と思うところだが、彼らがけものである、という説得力にそれが変わる。見事な設定だな、とおもった。

萌え4コマでさえ、「内面」を想定しているが、基本的には、余りにも複雑な「内面」を持たないようにフレンズは見える。

見ている内に、人間が持ってしまった「内面」は愚かな罪悪で、けもの達のシンプルな優しさが正しいような、えもいわれぬ気持ちにもなった。

また、シナリオ展開が、言うなれば冒険ものだが、先の予想は全くつかなかった。

息をつかさぬ展開、とかいう訳ではないのが大半なのだが、橋が壊れて川を渡れないとか、バスが動かないと言われても、何がどうなるのか全く予測が出来なかった。

世界設定が現代と違い過ぎて、予想できない。

まず、橋が壊れてる事の深刻さが、この世界でどれくらいなのか分からないし、そもそも、壊れた橋でいきなりカワウソが遊んでいて、「わーい、たーのしー」と言ってこっちの脳を破壊してくる。

ただただ、目の前で起きる事を受け入れるしかない、というのが視聴していたときの印象だった。気づけば、素直な気持ちになっていた。

橋を作り出したり、バスの電池を求めて山を昇ったり、人が来ないカフェを助けたり……何が起こるか分からないジャパリパークを、まるで一緒に冒険しているようだった。

次はどんなフレンズに会えるんだろう、そういう気持ちにさせてくれた。

そして冒険の果てには何があるのだろう、そう思えた。

冒険の果てには更なる冒険があり、最高のエンディングだった。

人類の進化をたどるような、人間の知性には素晴らしい側面があると思えるような、全てに肯定的な作風。

こんな素直で優しい気持ちになれるアニメは見た事がない。

あざとさが少なく、知的でもあり、そして最高に優しかった。

自分にとっては、今年はけものフレンズの年だったな、と思うのでした。